S&S ACT

演技実践ワークレポ|お客は、変化を見たい

演技実践ワークは継続型ですが、
扱うシーンは毎回ほとんどが新しいもの。
       

初めて相手と合わせる。
いわば、リハーサルやオーディションに近い状況です。
       

そのとき、何を意識するのか。
何に注意するのか。
どうすれば演技に深みが出るのか。
       

それを、実践であぶり出していく時間です。
          

この日、
最初の組が終わったあと、有薗さんが言いました。
         

「お客は、変化を見たいんだよ。」
        

――この言葉の意味とは
         


      
「初めから怒っていたけれど、それはなんで?」と有薗さん
     

俳優「ついて来て欲しくないのに、追ってこられていて、この役はイライラしていると思ったので」

有薗さん「初めての合わせで、最終的な形を目指しすぎている。そこから初めてしまうと、他の可能性が見えなくなるよ。誰がやっても同じ演技しかできないよ。」
       

この俳優がやろうとしたことは。
      

台本を読み、
「このシーンの役は怒っている」
と思いました。
     

なぜなら

状況的にイライラしていると想像できる。
言葉は強いし、語気も荒い。
     

だから、
怒っている状態を作って演た。
     
感情の“結果”からスタートした=10人の俳優がいたら9人がやりそうな演技
         


       
みんながやる演技から、貴方にしかできない演技へ
        

怒りは、本来
“今、目の前で起きていること”への反応のはず。
     
先ほどの演技は、完成された怒りを持ち込んでいる。
     
だから、動かない。

もちろん
      
声が大きくなったり、
熱量が上がることもある。
      
でも、ずっと怒っている演技にしか見えない。
正直、観客は飽きる。

     
本来、怒っているようなセリフの中にも、
      
・問いかけ
・戸惑い
・様子を見る時間
・相手を試す瞬間
・期待が裏切られる気配
      
そういう“揺れ”が潜んでいる。
      
怒りを演じていると、この揺れに気付けなくなる。
        
変化とは、感情を強めることではない。
      
関係が動くこと。
目的が揺らぐこと。
立場が崩れること。
      
怒りが強くなることと、
ドラマが深くなることは、別物です。

   

脚本家は、大きな物語の変化(ドラマ)を作る。
演出家は、シーン全体、作品全体の見え方に変化を作る。
俳優は、人間関係の中で内なる変化を作る。
      
脚本家の視点、演出家の視点も大事です。
ですが、俳優の仕事は役を生きること。
      

だから有薗さんは、おっしゃいます。
       
「セリフの一言一言から、意図を見抜くこと」


有薗芳記 演技実践ワーク 

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